コロナ禍の防災「密」回避で在宅・車中泊を選んだら…

写真説明:新たに導入された画面に触れずに操作できる自動チェックイン機。コロナ禍で感染対策はどのような場面でも求められている(2021年3月22日、東京・羽田空港で)

新型コロナウイルスの感染防止のため、災害時も「密」を避けた避難が望まれる。自宅や車中で避難生活を送ることを想定し、日頃の備えを見直したい。

ストレスが大きい避難所を避け、在宅避難を選ぶ場合

「女性の下着が干せない、子どもの声が気になる、ペットと一緒にいられない――。避難所はストレスが大きいものです」

福岡県筑紫野市の防災士吉村しのぶさんは指摘する。災害時、人が集まる避難所は感染のリスクがあるうえ、普段の生活リズムが守れないことも心身の負担となる。自宅の損壊などの危険があるなら迷わず避難すべきだが、安全に過ごせる場合は自宅での避難生活も検討したい。

写真説明:「自宅が安全なら在宅避難を検討して」と話す吉村さん

食料・水は最低3日分用意する

在宅避難には、事前の備蓄が欠かせない。吉村さんは、缶詰やレトルトなどの食品を多めにそろえて食べた分を補充する「ローリングストック」(回転備蓄)を勧める。食料と水は最低でも3日分は必要で、2週間分のストックがあれば、新型コロナに感染して自宅療養となった時などにも役立つ。水は、1人当たり1日に飲料用2Lと生活用1Lが目安。吉村さんは、空のペットボトルに水道水を入れ、3日たったら掃除や植物の水やりなどに使っているそうだ。

慣れ親しんだ味や人数分の簡易トイレも

「備蓄食は、普段からよく食べるものを」と吉村さん。慣れ親しんだ味には、心を落ち着かせる効果がある。感染対策のマスクや消毒液なども多めにストック。簡易トイレも、家族の人数と回数を考えて準備する。

行動計画(マイタイムライン)を平時から用意する

吉村さんは、2017年の九州北部豪雨で友人の家族が被災したことをきっかけに防災士の資格を取り、公民館などで災害の備えについて伝えている。そこで強調するのは、災害を想定した行動計画(マイタイムライン)を平時に立てることの大切さだ。「自宅の場所や周囲の環境、家族の人数や年齢などで、備蓄すべきものも異なる。最悪の状況を想像してそれに備えることで、いざという時に冷静になれます」と呼びかける。

写真説明:災害を想定した行動計画(マイタイムライン)を日頃から作っておくと、各家庭で備蓄しておくべきものを想像しやすい

◆在宅避難に向けて備えておきたいもの

水、食料(最低3日分)
現金(千円札や硬貨で小分けにしておく)
懐中電灯/電池
ラジオ
カセットコンロ/カセットボンベ
簡易トイレ
トイレットペーパー
紙皿/紙コップ/ラップ
携帯電話の充電用品
マスク/消毒液/除菌シート/体温計/
せっけん/ビニール手袋
生理用品など
※ほかにメガネ、補聴器、介護用品、常備薬など家族の必要なものを準備

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